益城町の学校支援の考え方


1 益城町では、平成17年度から公民館講座 そろばん教室受講生の方を中心に、小学3年生算数のそろばん学習のお手伝いに行ったことが始まりです。

  当時は、学校支援の押し売り(学校の養成の有無にかかわらず私たちから積極的に出かけました)状態であったため、学校の反応は2通りでした。

  A先生:そろばん指導の手伝いに来ていただきとてもありがたいことです。私一人で40人の子どもの指遣いなどの指導はできません。子ども      たちは、よく理解し、そろばんに興味を持った子がたくさんいました。

  B先生:子どもたちは、公民館講座の方たちの学習のためにいるのではありません。また、地域の方が大勢おいでると、子どもたちは集中し      て学習に取り組むことができません。お断りしたいです。

  A先生の考えに近い先生方からはとても喜ばれました。
 
  B先生の考えに近い学校にも押しかけました。
  好意的でなかった先生が学習終了後、「子どもたちがそろばんの仕組みをよく理解でき、親指と人差し指の指遣いもよくできました。休み時 間にも講座生の方とそろばんについて話をするなど興味を持ちました。ありがとうございました。来年も是非よろしくお願いします。」とおっしゃ いました。

2 そろばん指導の実際
(1)指導者:先生と講座生10人程度でそろばんの学習に当たります。

(2)学習の流れ

@先生がそろばんの各部位の名称・1珠の意味・5珠の意味・10進数とそろばんの桁の関連・数の表し方・読み方・珠の入れ方・簡単な足し算 などを一斉指導されます。

A一斉指導後、練習に入ります。この時間帯が、講座生の出番です。
 ・講座生10人が、4人グループそれぞれに1人ずつ入ります。
 ・4人の子どもの学習を手伝うのですから、子どもたち一人一人の理解具合がよく分かります。
 ・特に、指遣いです。
   1珠を入れるときは、親指を使う。5珠を入れるときは、人差し指を使う。球をとるときは、1珠も5珠も人差し指を使う。
 ・この指使いは、そろばん学習を初めてする子どもにとっては、とても難しいことです。
 ・この指遣いを講座生がして見せたり、子どもの指をとって丁寧に教えます。
 ・初めはぎこちなかった指遣いも次第にスムースにできるようになります。
 ・一番左の桁から、順次、「1、2、3、4・・・・・・8、9」と声に出しながら入れていきます。右端の桁まで入れてしまったら、入れた珠を「1、2、3、4・・・・・・8、9」と声に出しながらとっていきます。

 ・足し算の実際に入ります。
 ・第1の難関は、「3+4」のような5珠を使う足し算です。
 ・第2の難関は、「2+9」のような繰り上がりのある足し算です。
 ・第3の難関は、「6+8」のような5珠を分解してする繰り上がりのある足し算です。この足し算がもっとも難しい計算です。
  8は、あと2で10になるでしょう。
  1珠から2はとれないけど、5珠の5からだったらとれるでしょう。
  5から2ると10になるね。
  だから10の位に1上げます。
  5から2とったからいくつ残るね。そう3残るね。残った3を1の位に入れるのよ。そうしたら1+3で4になるでしょう。だから答えは、14です。」
 ・引き算は、足し算に準じます。

B講座生が、そろばんで四則計算のデモンストレーションをします。
 ・電卓と計算のスピードと正確さを競い合います。
 ※子どもたちは、指の動きの速さ、計算の正確さ、かけ算・わり算までできることに驚いていました。

C先生がまとめをされます。

 このようなパターンで、学校応援団活動を進めてきました。

2 学校支援の拡がり
 そろばん講座から始まった学校支援が、書道教室・ペン習字教室・陶芸教室・絵手紙教室などへと拡がってきました。
 平成20年度〜22年度 学校支援地域本部事業を益城中央小学校で実施しました。
 平成23年2月24日  学校支援地域本部事業実践報告会を開きました。
 平成23年度〜     「地域教育コーディネーターの育成活用事業
                益城中央小学校・広安小学校を拠点に益城町全校で実施しました。
               コーディネーターを教育委員会、益城中央小学校、広安小学校に配置しました。(3人制)
 平成24年度〜25年度 地域と共に創る熊本版コミュニティ・スクール推進事業の指定を益城中央小学校が受けました。
 平成26年2月10日  実践発表会を実施しました。
 平成26年度〜27年度 コミュニティ・スクール推進補助事業

3 益城町の学校支援の特徴
○公民館で学んだ成果を活かす。

 公民館主催講座(5月から翌年2月まで月2回 学習成果発表会3月)  16講座 
 自主講座(公民館講座を終了した人たち(原則3年間)が、その後も学習を続けるために自主的に開いている講座)  31講座

 年数回開かれる学級長会議で協力を依頼する。 

 両講座生が、学んで得た知識や技能を活かして学校支援に当たっています。

 公民館講座の中で、つながりができてるので学習支援もスムーズに行きます。また、地域づくりにもつながっています。

○GT(ゲストティーチャー)ではなく、AT(アシスタントティーチャー)
 学校教育活動の支援であることから、あくまでも主役は先生です。学校支援ボランティアは脇役です。
 学習指導をボランティアへ丸投げはしません。
 事前にしっかりした打ち合わせを行い、支援を行います。

○地域教育コーディネーターの3人配置
 教育委員会配置1人
  町全体のマネジメント、 コーディネーター配置校以外の支援、 ボランティアの養成を行います。
 学校配置2人
  先生方へ、地域人材や地域素材を提供します(学校支援の押し売り)。
  先生方がどのような支援を必要とされているかをお聞きします(御用聞き)。
  地域人材との連絡調整を行います。

  これらの活動がしやすいように、学校に常駐できる体勢(ほとんど毎日8時間勤務)をとっています。

   学校教育課の業務とコーディネーターの業務を兼務しています。

  
 

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